*正しい姉弟の切愛事情*
「ちょっと、元気にしてたのー?」
胸まで伸びたきれいな茶色の髪が絡まるんじゃないかというくらい、頬を摺り寄せてくる。
まるで猫だ。
「エリカちゃん、くすぐったいよ」
「もうお姉ちゃん、いきなり入ってこないでよ」
隣で呆れるユリを尻目に、エリカちゃんは私とユリの真ん中に、スキニージーンズに包まれた足を折りたたむようにして座った。
身長は私よりも高いのに、座ると同じくらいの座高だ。
つまり、エリカちゃんは憎らしいくらい足が長い。
「エリカちゃん、帰ってきてるって本当だったんだ! 仕事はどうしたの?」
私にとっても姉同然の八歳上のエリカちゃんは、数年前から一人暮らしをしながら働いていたはずだった。
「やだ、そこ聞いちゃう?」
おどけたように笑って、長いまつ毛をばさりと揺らす。