*正しい姉弟の切愛事情*
先に食卓に着いて待っていると、瑞貴は言葉通りすぐに下りてきた。
その顔に感情の色はなく、何を考えているか分からない。
と思いきや、食卓のメニューを見た途端、あからさまに表情が和らいだ。
「おーボロネーゼ」
鼻歌を歌いだしそうな勢いで椅子に座るその姿に、心底ホッとした。
弟の機嫌に一喜一憂してるなんて、姉の威厳は一体いずこへ。
「いただきます」
きちんと手を合わせてそう言うと、瑞貴はフォークを手に取りパスタをくるくる巻きつけた。
片足を椅子にのせていて行儀が悪いけど、食事の前にはちゃんと手を合わせるし、相変わらずスプーンを使わず器用にパスタを食べる。
そういうのは、昔となんら変わらないのに。