*正しい姉弟の切愛事情*
 
本当はずっと気になっていた。
 

あの日、瑞貴にかかってきた電話。
 
可愛い花柄のラブレター。
 
江崎そのみちゃん、は、ただのクラスメイト……?
 

それとも――……。
 


ざわざわと、胸の奥が落ち着かない。
 

たとえば、瑞貴が私のことをあっさり断ち切って彼女を作ったとしても、それはそれで仕方のないことだ。


私には、何も言う権利なんかない。

そもそも、こんなふうに考え込んでる時点でとても不自然だ。



頭から漏れた灰色のもやを散らすように、ぶんぶんと首を振る。

そして炭になってしまった具材をゴミ箱に捨てた。



「作り直さなきゃな……」


もう一度ため息をつくとソファの上に片ひざを立てて座っていた瑞貴が声だけをよこす。


「別に、インスタントでいいんじゃね?」


言われてソファを見る。


「でも……」


口ごもる私に、弟は言葉を重ねる。


「今日は父さんもいないし、たまには楽すれば?」

「……え?」


声を上げると、瑞貴がこちらを見た。


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