*正しい姉弟の切愛事情*


柔らかいと思っていた太陽の光が、いつの間にかじりじりと身体を焼きはじめる。

梅雨を飛び越えて夏になってしまったような気温が、生徒達に腕まくりをさせていた。


体育祭を明日に控えた教室では4時間目の授業が終わり、そのままSHRに突入している。


委員会や部活動に入ってる生徒は、この後、おのおの体育祭準備をすることになる。

でも私は帰宅部だから、そのまま帰る予定だ。


午前授業ということをすっかり忘れてお弁当を持ってきてしまったけれど、

ユリは保健委員があるし、石川君は軽音楽部で作業がある。


帰って食べるかな、


と考えながら教室を出たところで思いがけない人物に遭遇した。


「はーい一歌」


廊下の窓にもたれて、パンツスーツの美人が手を振っている。


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