*正しい姉弟の切愛事情*


「な、何やってんのエリカちゃん」

「えー? 久しぶりに母校に遊びに来てみたんだけど」


にこやかに微笑むエリカちゃんは、この学校の卒業生だ。


「遊びに来てみたって……」 


すれ違う生徒があきらかに場違いな彼女へちらちらと視線を注いでいく。


「すっごい目立ってるよ……」

「え、そう? 先生に見えるように地味なスーツで来たのになぁ」


いくら地味なスーツといっても、髪は明るい巻き髪だし、白いインナーはざっくり胸元が開いてるし。

なにより完璧なスタイル。


こんな雑誌の表紙に載っていそうな先生はこの学校にはいない。


「どーせこの後は体育祭準備でしょ? ほら、ジャージのやつもいるし、Tシャツ姿もいるし、十人十色。気にしない気にしない」 

「なんか、四字熟語の使いどころが間違っているような」

「気にしない気にしない」


そう言って、エリカちゃんはぐいっと私の腕を掴んだ。


「で、どれ?」

「え、何が?」


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