*正しい姉弟の切愛事情*
ユリの彼氏、司藤大地はバスケ部のエースだ。
ルックスの良さもあいまって、女子からかなり人気がある。
ファンクラブまであるくらいだから、その人気は相当なものだ。
それでも彼はユリと相思相愛だとみんな知っているから、ファンの子たちは憧れに留めている。
むしろ彼とユリとの関係を応援する形になっているらしい。
顔も性格もよく、品行方正なユリだからこそ、と言える。
それはつまり、ユリは司藤大地にふさわしい、と誰もが認めているということだった。
バスケ部は明日の体育祭準備をしているだろうと踏んで、私はエリカちゃんを体育館に連れて行った。
「うわっ、なっつかしー。全然変わってないわぁ」
小道を進んでいくと大きな屋根が見えてくる。
と、体育館の入口付近に女子が数人固まって立っているのが見えた。
「サキ、そんなとこで何やってんの?」
顔見知りを見つけて声をかけると、彼女は惣菜パンを頬張りながら振り向いた。