*正しい姉弟の切愛事情*
「あれ、一歌じゃん。そっちこそどうしたの? うちらはバスケ部待ちで……つか、誰っ?」
エリカちゃんを凝視して、サキが目を見開く。
「ああ、ユリのお姉ちゃん」
「どーも、はじめましてっ」
明るく微笑むエリカちゃんにサキと周囲の女子達も釣られるように笑う。
そういえば、サキは司藤大地のファンクラブに入ってるんだったな、
と思い出した瞬間、エリカちゃんが口を開いた。
「バスケ部待ちってことは、まだ来てないってことね」
「あ、部員達はまだ部室でお昼食べてると思う…います」
微妙に言葉を付け足して敬語にした後、サキは私に耳打ちしてきた。
「てか、なんでユリのお姉さんがここにいるわけ?」
「なんか、司藤くんを見てみたいんだって」
小声で答えた瞬間、エリカちゃんの高い声が耳に入った。