*正しい姉弟の切愛事情*
「お、イケメン集団発見。もしかして、あれ?」
指差された方向を見ると、ジャージ姿のバスケ部員達がぞろぞろと歩いてくるところだった。
「きゃあっ、来た! 司藤クン!」
サキが持っていたパンを投げ捨てるようにして集団に向かっていく。
そのほかの女子もみんな嬌声を上げながらおのおの好みのバスケ部員に走り寄っていった。
「わお、凄い人気」
あっという間に女子に取り囲まれたバスケ部員たちを眺めながら、エリカちゃんはぽつりとつぶやく。
「ふうん、あれが司藤クン……か」
サキが真っ先に駆け寄っていった男子を見てその表情が奇妙に引き攣る。
「ははぁ、あれはモテるわ」
「ホント、すごいね……」
バスケ部自体がイケメンの集まりで、アイドルグループのように女子から人気があることは知っていたけど、
こんなふうにファンが群がるところを目の当たりにするのは、私もはじめてだ。
「で、どうするの? 話しかける? あの集団の中に入るのは大変そうだけど……」
問いかけると、エリカちゃんはふるふると首を振った。