*正しい姉弟の切愛事情*
病院でレントゲンを撮った結果、瑞貴は左手の中指を骨折していた。
骨折といっても、骨が欠けている程度で、厳密に言うと剥離骨折(はくりこっせつ)というらしい。
突き指と違って一応骨折だから、骨がくっつくまで指を固定しなくちゃいけない。
というわけで、瑞貴のギブス生活が始まった。
「利き手じゃなくて良かったね」
お茶を用意して食卓に着く。
私と瑞貴はそれぞれ鞄からお弁当を取り出して食卓に並べた。
今朝作ってしまったお弁当。
学校に持っていって、そのまま持ち帰ってきたそれを2人で広げ、遅い昼食をとる。
お弁当に添えられた瑞貴の左手は、中指だけ包帯でぐるぐる捲きになっていた。
利き手の右手で普通にお箸を持ちながら、弟はボソリとつぶやく。
「マジ、孝太のバカ力」
「孝太くん?」
それは何度かうちに遊びに来たことのある、瑞貴の友達の名前だ。