*正しい姉弟の切愛事情*
「もらいもののタケノコがいっぱいあるから、今度また持っていってあげるわね」
「いいんですか? わぁ、嬉しい」
うちに母親がいないことを気遣ってか、奥村さんはときどきおかずをお裾分けしてくれる。
それこそ、私が料理を作れない頃からずっと。
「じゃあ行ってきます」
「行ってらっしゃい」
笑顔で別れを告げ、私は自転車に鍵を差し込んだ。
そのまま目立たないように息をつく。
隣の家のしっかり者の長女。
その印象を崩さないように、ちゃんと応対できてたよね……?
心の内でつぶやいて、自転車にまたがった。