*正しい姉弟の切愛事情*
え――?
驚いて目を開くと、瑞貴の右手が私の頬に添えられていた。
閉じていたはずの大きな目が開かれ、至近距離でじっと私を見上げている。
「――っ」
声にならない悲鳴が、のどの奥で詰まる。
私はあわててベッドから飛びのいた。
「お、起きてたの!?」
顔が一気に熱くなっていく。
全身が炎に包まれたみたいだった。
瑞貴は何も言わないまま身を起こし、私を見つめている。
その視線から逃げるように、
「や、夜食、そこに置いたからね」
言い捨ててて、急いで部屋を出ようとドアに向かった。
「今の、何?」
その言葉に絡めとられるようにドアの前で足を止める。
瑞貴に背中を見せたまま、私は足りない頭を必死に回転させた。