*正しい姉弟の切愛事情*
「……気持ちが、動いてんじゃないかって訊いてんの」
その言葉に心臓が大きく揺れる。
私の気持ちは――――動いてるよ。
瑞貴に向かって、大きく傾いてる――
それでも、
「そんなわけないじゃない」
小さく笑って自分の心を否定した。
瑞貴は何か感づいてるらしい。
でも、ここは絶対に切り抜けなきゃいけない。
一瞬漂った沈黙に、時計の秒針だけが音を刻む。
しばらくして、弟は諦めたように息を吐き出し、目をすがめた。
「じゃあ、江崎の封筒見て、なんだ、ってつぶやいたのはなんで?」
その言葉に、頭の中が真っ白になる。
「……どうして、それを」
私が封筒の写真を見たとき、瑞貴はベッドで寝息を立てていた。
私の行動を知ってるはずないのに。
そしてはっとした。