*正しい姉弟の切愛事情*
「まさか……寝たふり、してたの?」
心臓の音に連動して、声まで震える。
「うん」
瑞貴は事も無げに答え、机の上の封筒を見やった。
そのさらりとした横顔を凝視しながら、私の顔は熱く染まっていく。
うそ……起きてたなんて。
あたし、何を言った?
何をやった?
瑞貴が寝ていると、思っていた間に……。
自分の行動を思い返そうとしても、羞恥に沸いた頭はろくに働かない。
「なんで、寝たふりなんか……」
どうにかそう口にすると、低い声が答える。
「確かめたかったから」
短く発して弟は机に近づいた。
「一歌が本当はどう思ってるのか、確かめたかった」
そう言って、写真の入った封筒を手に取る。