*正しい姉弟の切愛事情*
「このあいだ、たまたま江崎から電話きたし、クラスメイトの女から電話が来たこと、一歌は気にしてないのかなって思ってさ。反応を見るために……」
ちっとも回転しない私の頭も、そんなセリフに反応する。
「もしかして、わざと置いておいたの? その封筒……」
「そう。目に付きやすいところに」
「……」
なんてことだ。
全部瑞貴の策略のうちだったなんて。
「……」
言うべき言葉を失っている私に向かって、策士な弟は封筒から写真を一枚取り出して掲げてみせる。
「江崎からの封筒。中身見て、なんだって、安心したんじゃないの? ただのイベントの写真だし」
見透かされてる……。
反論できず、私はうつむいた。