*正しい姉弟の切愛事情*
瑞貴の胸に沈みながら、鉄の鎖に捲かれていく気分に陥る。
好きなのに、恐い。
何を恐れているのか、自分でも分からない分、余計に気持ちが重くなる。
それでも、この腕の中から抜け出す勇気はもうなかった。
「一歌……」
優しい声で囁かれ、降りてきた唇を素直に受け止める。
それは甘く、幸福な香りがする毒のキス。
麻薬のように濃密に絡み付いて、
きっと容易には抜け出せないんだろう。
それでも――――