*正しい姉弟の切愛事情*
「……はぁ」
完璧に墓穴を掘ってしまった。
階段を下りながら、自分の言動を思い返して頬が熱くなる。
二週間前に隠していた想いを打ち明けて以来、
私と瑞貴は家の中で何事もなかったように過ごしながら、少しずつ気持ちを深めている。
父親に気付かれないよう振舞いつつ、さりげなく言葉を交わしたり、身体に触れたり、
ふたりきりのときを見計らってキスをしたり。
密やかな行為は気分を高めるのか、ともすると流されそうになって危険だ。
それはつまり、キスより先の……。
瑞貴のことは好きだけど、このまま関係を続けていいのかはまだ少し悩んでいた。
私は親や友達に言えないことをしている。
そう思うと、やっぱり先に進んではいけないような気がして。