*正しい姉弟の切愛事情*


「……はぁ」



完璧に墓穴を掘ってしまった。
 
階段を下りながら、自分の言動を思い返して頬が熱くなる。
 

二週間前に隠していた想いを打ち明けて以来、

私と瑞貴は家の中で何事もなかったように過ごしながら、少しずつ気持ちを深めている。
 

父親に気付かれないよう振舞いつつ、さりげなく言葉を交わしたり、身体に触れたり、

ふたりきりのときを見計らってキスをしたり。


密やかな行為は気分を高めるのか、ともすると流されそうになって危険だ。
 

それはつまり、キスより先の……。
 

瑞貴のことは好きだけど、このまま関係を続けていいのかはまだ少し悩んでいた。
 

私は親や友達に言えないことをしている。

そう思うと、やっぱり先に進んではいけないような気がして。


< 217 / 428 >

この作品をシェア

pagetop