*正しい姉弟の切愛事情*
……瑞貴はそこまで酷くはないかも。
そう考えると、全然気に病む必要もないのかもしれない。
石川君に気付かれないようにため息をついた。
ちょっと気にしすぎだったのかもしれない。
いかんいかん、過保護も良くないよね。
と、石川君が私の顔をじっと見つめていることに気付く。
「どうしたの?」
「いちか、弟と全然似てねーよな」
ああ、そこか。
私は石川君に微笑み返す。
「それよく言われる」
ふわっと漂った風に、私の緩くカーブがかかったクセ毛が舞った。
色素の薄い髪色は、地毛のままで少し茶色い。
死んだ母親から受け継いだ遺伝子。
それは、瑞貴の真っ黒でまっすぐな髪質とは似ても似つかない。