*正しい姉弟の切愛事情*



なんだか悔しい。

2つも年下の弟に、感情をコントロールされている気がして。


「おやす、み」


唇を突き出したまま答えると、瑞貴はふっと笑って私の頭を撫でた。

不覚にも心臓が鳴ってしまう。


細くて長い指が私の髪をさらりと梳く。


目線だけを交わし、瑞貴はコップを持って階段を上がっていった。
 


ステップを踏む音とともに2階へ消えていく背中。
 
私が選んだそれは、とても細くて頼りなげで。



それでも、心は愛しい気持ちで満たされる。
 


石川君とでは得られなかったこの想いこそ、本当の恋愛感情なのだと気付く。

 


だから私は、早く、


けじめをつけなきゃいけなかった。


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