*正しい姉弟の切愛事情*


いくらこれが私の中で少しずつ導き出された答えだとしても、石川君にとっては寝耳に水な話に変わりない。
 
今みたいに避け続けて、関係が自然に消滅してくれるのが一番の理想だけど、

さすがにそれを期待するのはずるいかな。
 

考え込む私の耳に、瑞貴の溜息が届く。


「そ。じゃあ一歌に任す……けど、なるべく2人きりにはなんないようにして」

「え、どうして?」


訊ねると、細長い指が私の頬に触れそのまま髪に差し込まれた。


「一歌が思ってるほど、さっぱりしてないと思う。イシカワは」

「え……」
 

真っ黒の瞳に私を映し、弟は少し自虐的に微笑む。


「俺にキスシーンを見せつけてくるくらいのサルだし?」 
 

途端に身体がぐらりと揺れ、ソファに仰向けになる。

天井がひらけ、目の前に瑞貴の顔が現れた。


「ちょ、ちょっと――」

「あいつと、キス以外はしてないんだよね?」


目を細め、確認するようにつぶやく。
 
長いまつげと赤い唇が艶かしく見えて、胸が震えた。

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