*正しい姉弟の切愛事情*
「し、してないよ」
答えた声は上擦った。
瑞貴はたまに驚くほどの色気を漂わせる。
男なのに、年下なのに。
姉の私よりもずっと色っぽい目線や表情を見せる。
それが発動すると、私は魔法にかけられたように動けなくなってしまう。
「ふうん」
唇が落ちてきた。
一瞬触れた柔らかな感触が、次の瞬間には濃密な匂いを孕む。
「ん――」
瑞貴は上下の唇で挟むように私の口を覆い、舌を差し込んだ。
口内を滑る感覚に、頭が痺れる。
「み、っ――」
出そうとする言葉はすべて吐息に変わって、口端からこぼれた。
瑞貴の手が、私の頬に触れ、髪をなぞり、耳をくすぐる。