*正しい姉弟の切愛事情*
くすぐったいと身体をよじって訴えても、唇は離れない。
このままじゃ、流されちゃう。
いつか瑞貴の部屋で見た4センチ四方の包装袋が脳裏をよぎり、心臓が飛び跳ねた。
「――ダ、メだよ。瑞貴」
顔を逸らし、深くなるキスからどうにか逃れる。
「こんな、とこで。お父さんが――」
「さすがにまだ帰ってこないし」
テーブルを挟んだ向こう側で、沈黙したテレビが私と弟を静かに見守っている。
その上で時を刻む壁の時計は、16時を差していた。
確かに、お父さんがこんな時間に帰ってくることはない。
「でも――」
ちゅっと軽いキスをして、瑞貴は言った。