*正しい姉弟の切愛事情*
二十代前半くらいかな?
爽やかな笑顔が印象的で、好青年という感じの人だった。
理学療法士というのは初めて聞いたけど、そういう職業があるんだ。
なんて思いながら待合室で待っていると、瑞貴がやや不機嫌そうな表情で戻ってきた。
隣の椅子にどかっと腰を下ろし、中指に巻かれた新しい包帯をつまらなそうに眺める。
「どうかしたの?」
「……別に」
瑞貴が答えた瞬間、受付から「沢井さん」と名前を呼ばれた。
会計を済ませ、停めていた自転車を引いて帰路についた。
もうすぐ18時になるというのに、日差しが衰える気配はなく、蒸された空気が肌にまとわりついてくる。
「乗んなよ」
自転車のハンドルを取り、瑞貴は私に荷台を示した。
言われた通り荷台に座ると、すぐ間近に瑞貴の背中が見える。
制服の白いシャツが微かに背中を透かしてる。
そっと触れた途端、熱が伝わってきた。