*正しい姉弟の切愛事情*


私の話をしているようで、いつの間にか自分の話をしている奥村さん。
 
何をどう答えればいいのか分からないまま作り笑いを浮かべていると、


「で、あの男の子とはどういう関係なの? 彼氏なんでしょう?」
 

話が石川君のことに戻った。


「いや、あの、同じ学校というか」

「一歌ちゃんはしっかりしてるから心配ないけど、最近物騒だし、彼氏もいいけど、いろいろ気をつけないとねぇ。そういえばこのあいだお父さんが帰ってきてなかったみたいだけど、お仕事だったのかしら」
 

なんでそれを知っているの、と思いながら表面上は笑い続ける。


「あの、このあいだ出張があって」

「あら、お忙しいのねぇ」


頭の中に奥村さんの吐いた言葉がどんどん詰め込まれていく。
 
眩暈がしそうなほどのマシンガントーク。
 


私から根掘り葉掘り情報を聞き出して、

私には他の場所から集めてきた情報をあれこれと開示していく。
 

いい意味でも悪い意味でも情報通なお隣さん。
 


笑っているようで、どこか鋭い奥村さんの目つきに、全身を舐められているような気がして、


少しだけぞっとした。

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