*正しい姉弟の切愛事情*



「――……」


時が止まったような短い沈黙にハッとして振り返ると、石川君の切れ長の目が見開かれていた。


「ご、ごめんなさい……」


あんなふうに顔を逸らしたら、拒絶されたと思われてもおかしくないよね。


「ちょっと、びっくりして……」

「あ、うん……」


弁解混じりの私の言葉に、石川君はポリポリと頭を掻きながら頷いた。

気まずそうに目を逸らし、黙り込んでしまう。

 
少し冷えてしまった空気の中、隣の石川君は気を紛らわすように携帯を開いてる。

その横顔に、慌てて声を掛けた。


「あ、あのあの、おぅ、弁当!」

「は?」
 

ひっくり返ってしまった声が恥ずかしい。

頬が熱くなっていくのを感じながら、不思議そうな顔をしてる彼に自分のお弁当箱を掲げてみせる。


「こ、今度、石川君の分も作ってこようかな……なんて。いつもパンみたいだし……その、迷惑じゃなければ」
 

石川君は切れ長の目をきょとんと開いて、


「あー……、あぁ」


鈍い反応に、胸が騒ぐ。



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