*正しい姉弟の切愛事情*
「ちょ…っと」
話、聞いてた? と問う前に、低い声が落ちてくる。
「今のは、一歌が悪いっ」
「な、なんでよ」
「なんだよそれ、もう、天然かよ」
吐息が耳に触れてくすぐったい。
「みずっ、も――」
言いかけた言葉は、合わさった熱に奪い取られた。
唇と唇がまるでひとつになりたがってるみたいに深く触れ合う。
もう何度もしているのに、胸の鼓動はおさまらない。
瑞貴とのキスは、温かくて、思考が溶けてしまう。
「はぁ」
心地好い吐息と熱に、気持ちが引きずられていく――
と、そのとき、
ピンポーン
玄関のインターホンが鳴って、私は目の前の胸に手を当てた。