*正しい姉弟の切愛事情*
「ん、」
離れるように合図しても、瑞貴は私を解放しなかった。
ピンポーン
響き渡る呼音に心臓が騒ぎだす。
「瑞貴、離れ、て」
キスの合間に言葉をこぼしても弟は離れようとしない。
その間もインターホンは鳴らされる。
ピンポーン
「も……」
いい加減に――
焦りが頂点に達する直前、瑞貴はすばやく私から離れた。
笑みを浮かべて、何事もなかったように玄関に向かっていく。
「な……」
なによ、もう。
廊下に消える背中を見て、脱力した。
瑞貴は明らかに私が焦る様子を楽しんでる。
それはつまり、私のことをよく分かってるということで。