*正しい姉弟の切愛事情*
でしゃばったかもしれない。
不安に思ってると、意に反して石川君は恥ずかしそうに笑った。
「じゃあ、時間があるときとかでいいから……頼むわ」
「う、うん」
2人の間にあった張り詰めた空気が少しだけほぐれる。
それにホッとしていると、石川君は携帯をポケットにしまって立ち上がった。
「友達に呼ばれたから、先戻るな」
「あ、うん」
ばいばいと手を振って、校舎に消えていく石川君の広い背中を見送った。
屋上の重たいドアが心臓に響くような音を立てて閉まる。
その瞬間私の口から零れ落ちたのは、大きな溜息だった。