*正しい姉弟の切愛事情*
なに、それ。
あっけに取られる。
瑞貴って、ほんとに15歳?
なんでそんな難しいこと言えるの……?
疑問が顔に出たのか、弟は私を見てつぶやいた。
「……みたいなことが、なんかの本に書いてあった」
「な……なんだぁ。びっくりしちゃったよ。急に諭(さと)ったようなこと言い出すから……」
私の言葉に大きな目をすがめる。
「一歌は家のことはしっかりやるけど、外のことを知らなさ過ぎんだよ。そんでお人好し」
「そ、そんなことない」
いくら瑞貴がしっかりしてても、弟にそう言われては姉としては立場がない。
私の憤りなんて気にも留めず、端整な顔は参考書に視線を戻す。
瑞貴は私と違って、勉強が苦にならないらしい。
うじうじと悩む私と違って即決だし、いつでもまっすぐだし、芯も強い。
姉弟なのに正反対だ。
弟……
「…じゃなかったら良かったのになぁ……」
「え?」
私のつぶやきに、瑞貴が顔を上げた。