*正しい姉弟の切愛事情*
ひとり残された屋上で、気が抜けたようにフェンスにもたれかかる。
石川君といると……なんだか緊張する。
その一挙一動にいちいちビクビクしてしまう自分がいる。
恋愛ってこういうものなの?
ふとさっきの唇の感触が甦ってきた。
唇の上を微かに這ったあの生温くてくすぐったい感触。
思い出した途端、ぞわりと背筋が粟立つ。
キスとかって、もっと幸せなものなのかと思ってた。
けど、さっき顔を逸らしてしまったアレは、間違いなく私の身体が示した拒否反応。
『びっくりした』なんて嘘だ。
本当は、ゾクリとした。
あの一瞬に感じたもの、それは多分、
嫌悪感―――