*正しい姉弟の切愛事情*


黙々と参考書を読み進める顔は、お世辞じゃなく整っている。

男らしさというのはないけれど、あくがなくて綺麗だ。


細身で背もそこまで高くないけれど、勉強だってできるし、学校でモテるんじゃないのかな。
 
それなのに、なんで私なんだろう。
 

そう思ったら気になって、つい口にしてしまった。


「瑞貴って……あたしのどこが好きなの」

「はあ?」


弟はおもいきり顔をしかめた。


あれ、珍しい顔。


いつも淡々としてるのに、明らかに動揺してる。


「なんだよ、急に」


言いながら赤面していく様が可愛くて、笑いそうになるのを堪える。


「……なんとなく、聞きたくて」


どうせ、質問には答えてくれないだろうと思ったけれど、瑞貴は目を逸らしてぶっきらぼうにつぶやいた。

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