*正しい姉弟の切愛事情*



放課後、石川君は友達と用事があるらしく、私は友達のユリと買い物に行った。

お気に入りの雑貨ショップで色とりどりの可愛い小物に癒される。

勉強と家事と恋愛に追われる私にとって、貴重な休息時間だ。


「今日は早く帰んなくていいの?」


石川君に似合いそうなお弁当箱を物色してると、背後から優しい声で訊ねられた。

私の横にちょこんと座り、肩までの品のいい茶髪を揺らしながら、ユリがほわりと微笑む。


「うん、今日は弟塾だし、夕飯は遅めで平気だから」

「そっか。瑞貴くん、今年受験だっけ」


中学から一緒のユリは何度かうちに遊びに来たことがあって、瑞貴とは幾度となく顔を合わせている。

そして何故か彼女の中で弟の印象はかなり好いらしい。


「相変わらず可愛い? 瑞貴くん」
 

全ての邪気を吸い取るような笑顔を見せる。

その混じりけのない笑みに対して、私はしかめ面のまま大げさに首を振って応えた。


< 27 / 428 >

この作品をシェア

pagetop