*正しい姉弟の切愛事情*

3、白雨のまえぶれ



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夏休み直前の期末試験、最終日。
 
その日は朝から親友の様子がおかしかった。


「ユリ、帰ろ」


SHRが終わって声をかけると彼女はぽかんと私を見上げた。


「あれ、でもまだ試験終わってない…」

「もう全部終わったよ」

「え? あ……そっか」


教室の時計を見て周りが帰宅を始めてることに気づき、ようやくカバンに荷物を詰め始めた。


「どうしたの? なんかぼーっとしてるけど」


あきらかにいつもと様子が違うのに、


「え、そう? 別に何もないんだけど」  
 

ユリはそう言ってふわりと笑う。
 
でもそれはやっぱり、どことなく力ない笑みだ。
 

何かあったのかな? 


そう思いつつ聞き出せないまま玄関で靴を履き替えると、周りが騒がしいことに気づいた。


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