*正しい姉弟の切愛事情*



「――別の女とラブホに入るとこ、あたし自身が見ちゃってんだよねー」


司藤大地の罪が暴かれる。


「見ちゃった、って」
 

納得がいってない私の顔色を読んで、エリカちゃんはぺろっと舌を出した。


「何回か尾行しちゃった、えへ」


身体の中で、何かが崩れ落ちていく。
 

あの、司藤大地が――


ユリになんて声をかけていいのか分からない。
 
自分の彼氏がファンクラブの子と浮気を重ねてる。
 
その事実を知って、どれだけ傷付いたのか――


そんな私の考えはどこまでも浅く、ユリの深い心をちっとも読み取れていなかった。
 


その小さな肩が、ひとりきりで、背負っていたものは―――




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