*正しい姉弟の切愛事情*
胸の奥がぎゅっと締まった。
そんなの、全然知らなかった。ちっとも気付かなかった。
ユリはいつもきらきら光ってて、2人は非の打ち所がない理想的なカップルで、
嫉妬しちゃうくらい幸せそうで―――
……見せていなかったんだ。
ふと、思った。
ユリは本当の感情を、いつも一緒にいる私にさえ見せていなかった。
身体中の水分が干上がったみたいに、ひどく渇く。
――この子、ほぼ毎晩、部屋で泣いてんのよ――
最初のエリカちゃんの言葉が胸をえぐる。
「ユリ、なんで……」
渇いて掠れてしまった声に、返事はない。
ユリはただじっと座って壁を見つめてるだけだ。