*正しい姉弟の切愛事情*
「この子が自分で動かないから、あたしが別れさせようと思って学校に乗り込んだわけ」
そう言って、エリカちゃんはソファの上にあぐらをかいた。
マキシ丈のスカートが足の形に沿って扇状に広がる。
夕べ、この姉妹は司藤大地のことで言い争いをしたらしい。
だから、ユリは今朝から様子がおかしかったんだ。
今までひとりで耐えてきたことを、人から指摘されて――。
「都合のいい女にはなるなって、前から言ってたでしょ」
恋愛の先輩であるエリカちゃんの言葉は、それなりに経験があってそれなりに重みがある。
それでも、ユリの声は冷えていた。
「……放っておいて」
拒絶を表すはっきりとした態度に、胸が軋む。
こんなユリ、はじめて見る。