＊正しい姉弟の切愛事情＊

「分かってるよ。彼が、別の人とも関係を持ってるって……。あたしが都合よく利用されてることだって。ちゃんと、分かってる。……それでも――」
　

ぽたりと、雫が落ちた。


「……好きなの」
　

そう言ってユリは表情を崩す。


「離れたくないの」
　

ボロボロと落ちていく涙にさすがのエリカちゃんも口をつぐみ、ユリは苦しげに呻く。


「別れろっていうんなら、あたしの中の、この気持ちを……消してよ」
　


痛いくらいに強い想いだった。

傷ついてもなお、すがってしまうくらい――
　


小さな肩が震えてる。

その華奢な身体で、ユリは司藤大地を彼の罪ごと受け止めようとしてる。
　

喉の奥が痛かった。
　
ユリの秘められた感情が私の中に次々と流れ込んでくるみたいで、涙に視界が滲む。



「彼が、あたしを求めてくれる限り、自分から突き放すなんて、できない……っ」
　


ユリ……。