*正しい姉弟の切愛事情*
「まあまあ、いいじゃないの! あ、学校帰りですか、 瑞貴君のお姉さんの――えっと……」
「あ、一歌です。弟がいつもお世話に――」
「いやいや、そういう堅いのはいいっすから。今日はもう仕事中じゃないし」
「アホ久保」
頭に置かれていた手を振り払いながら、瑞貴がつぶやく。
「お、言ったなー?」
久保さんは笑顔のまま瑞貴の肩をばしばしと叩いた。
「いってーよ馬鹿力!」
「はっはっは!」
「……」
なんていうか、激しく明るい人だ。
瑞貴が吐く毒をものともせず、久保さんは爽やかな笑顔を辺りに振りまいてる。
「今日の診療はもう終わりで、瑞貴君が最後だったんですよー」
そう言うと、片目をバチンとつぶってみせる。
「よければこの後、御飯でも行きません? なんて」
「えっ」