*正しい姉弟の切愛事情*


「何考えてたんだよ、今」

「なにって……別に何も……」

「放心してたじゃん。何回も呼んでんのに」

「ご、ごめん」 


謝ると、瑞貴はあごをしゃくって荷台を指した。 


「……乗って」

「うん」 


自転車の後方に回る。
 
その瞬間、左肩を強く掴まれ、強引に振り向かされた。
 

そして――
 
噛みつかれるように、唇を奪われる。


「……」
 

あまりに突然で、一瞬言葉を失った。
 

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