*正しい姉弟の切愛事情*
じりじりと焼け付く太陽に現実がゆらめいて我に返る。
こんな路上で、キスなんて――
「み、瑞貴っ!」
声を震わせると、弟はバツが悪そうに私を見た。
「……一歌が、久保なんかを意識してるから」
「し、してないよ。意識なんて」
「けどなんか、声かけられた後からぼーっとして――」
そこまで言って言葉が途切れる。
不自然な沈黙が漂った。
なに……?
瑞貴は口を開けたまま、私の後ろを凝視してる。
まさか――
心臓が嫌な音を立て、私は急いで振り返った。