*正しい姉弟の切愛事情*


そこには男の人が立っていた。
 
放心したように私と瑞貴を見つめている、彼。
 


なんで……
 
どうしてここに――?



「石、川……くん」


顔に汗を浮かべた石川君が、呆然と佇んでいる。

鼓動が、響く。



「い、石川君、ここで、なにして」


普通に話そうとしても、声が上擦った。
 

まさか、今のキス、見られた――?
 

私の問いかけに答えるように、彼はぼそぼそと声をこぼす。


「一歌の好きな奴が、どうしても、気になって……」
 

心ここにあらずという顔で、私たちを凝視してる。



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