*正しい姉弟の切愛事情*


言葉がのどにつかえて出てこなかった。
 
呼吸すらうまくできない。
 

ひどくけがれたもの見るような目で私を見下ろし、石川君は背を向けた。
 


不浄の場から逃げ出すみたいに、足をもつれさせながら走り去っていく。





「い……し……」 
 


声にならない。
 

足に力が入らなくて、アスファルトに崩れ落ちた。



寒くもないのに、むしろ強い陽の光に焼け焦げそうなのに、身体が小刻みに震えている。






見られた。



石川君に。






瑞貴とのキスを―――!






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