*正しい姉弟の切愛事情*



石川君の言葉に貫かれて、私の心は一部が麻痺してしまったようだった。
 
瑞貴と一緒に帰宅したはずなのに、何を話したのか覚えてない。

 
ただ黙々と台所に立って、夕飯を作って……。

もしかしたら私は、いつか脳が機能しなくなっても料理だけは続けるのかもしれない。
 


そう思うくらい、

『家族のためにごはんを作る行為』は、

私にとって大事な意味があった。






「ごちそうさま」
 

食事を早々に済ませ、自分が使った食器を流しに重ねる。


「食べ終わったらそのままにしといて。後で片付けるから」


そう言って階段に向かうと、お父さんの声が背中を撫でた。


「なんだ一歌、具合でも悪いのか?」

「ううん、明日の課題が残ってるからやっちゃおうと思って」


瑞貴の方を見ないまま、2階に上がり自室に入る。
 

そのままベッドになだれ込んだ。

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