*正しい姉弟の切愛事情*
テレビを消して時計を見ると24時だった。
「そろそろいいかなぁ」
食事を終えたお父さんはお風呂にも入って、もうとっくに自室で寝ている。
時計の秒針だけがコチコチと静かな音を刻んでいた。
台所には用意しておいた鮭と昆布のおにぎりが置いてある。
瑞貴の夜食、そろそろ持っていっていいよね……?
お盆におにぎりとお茶と夕飯のデザートに食べたプリンをのせ2階に上がった。
『無断入室禁止』の張り紙の前で深呼吸をする。
そして、
「瑞貴、夜食持ってきた」
いつもと同じようにノックをしながら声をかけた。
けれど――
ドアの向こうはしんと静まり返ったままで、どんなに待っても返事がない。
また? と思いながら強くノックをする。