*正しい姉弟の切愛事情*
「瑞貴? 夜食――」
「……」
やっぱり反応がない。
さらに強く扉を叩こうとしたところで思いとどまった。
あんまり大きな音を出して1階のお父さんを起こすわけにはいかない。
どうしよう。
勝手に入ったらまた怒られるだろうし。
かといって、ここにずっと突っ立ってるわけにもいかないし。
「うーん……」
悩んだ末、おもいきってドアを開けることにした。
だって、これは明らかに瑞貴がいけない。
ちゃんと夜食持ってくって言ってあるのに、出てこない方が悪い。
うん、キレられたらキレ返そう。
そう思いながら目の前のドアをゆっくり開いた。