*正しい姉弟の切愛事情*
目に入ってきたのはいつもの雑多な部屋。
そして正面に、瑞貴の背中――
「あれ」
音を立てないようにドアを閉め、足音を忍ばせて瑞貴に近づいた。
Tシャツに包まれた広い背中が、机にぺたりと突っ伏してる。
「なんだ……」
寝てたのか。
すーすーと寝息を立てて、瑞貴は眠っていた。
腕枕にこめかみを預け、やや左を向いている。
「あは、寝顔かわいー」
どんなに悪態をついても、どんなに反抗期でも、
眠ってる顔は昔ながらの瑞貴のままだ。
毛布をかけてあげようとサイドボードにお盆を置いた瞬間、そこに置かれているものが目についた。
それは今時珍しい手紙。
ピンクの花柄地で、いかにも女の子からもらいましたという感じの封筒だった。
なんとなく物珍しくて、手にとる。