*正しい姉弟の切愛事情*
自分じゃ瑞貴を説得できないからと、私は彼女に泣きついた。
卑怯かもしれないけれど、もうこれ以外の方法を思い付かなかった。
私の言葉じゃ近すぎて瑞貴に届かない。
第三者が説明してくれた方が、きっと冷静に考えられると思ったから。
けれど、
「一歌のことは諦めなさい」
エリカちゃんの第一声からして、雲行きは怪しかった。
「はあ?」
当然のごとく、弟は眉をひそめる。
「あんたたちの関係は、一歌に聞いて知ってんの」
瑞貴がじろりとこちらを見て、つい目を逸らしてしまった。
気まずい沈黙が流れた後、低い声がつまらなそうにこぼれる。
「なに? モラルに反するとかって説教?」
「……そうよ」
エリカちゃんが言うと、弟は大きくため息をついた。