*正しい姉弟の切愛事情*
溜まった涙が頬をつたう。
嗚咽が漏れそうになって目を伏せると、ソファから下りてきたエリカちゃんに抱きしめられた。
「大丈夫よ、一歌」
甘く漂う香水は、大人の香りだ。
私の髪を撫でながら、エリカちゃんは確信するように言う。
「本当に運命なら、運命の方から追いかけてくる」
「運命の、方から……?」
涙声で繰り返すと、彼女はいつもの快活な笑みを浮かべた。
「そうだよ。だから、頑張って自分の人生を生きてなきゃダメ」
「……」