*正しい姉弟の切愛事情*
身体の中でよれていた一本の糸が、針穴を抜けるみたいにすうっと通った。
本当に運命なら――
淀みの中に、小さく見えた抜け道。
小さな救いの言葉に、ぐちゃぐちゃだった心が凪いでいく。
エリカちゃんは、大人だからいろんなことを知ってるの?
それともいい恋愛を経験してきたから?
「……私も、エリカちゃんみたいに、いい恋愛がしたかったな……」
そう言うと、エリカちゃんは目をきょとんと開いた。
「してんじゃない」
「え……?」
大きな目をバチンとつぶって、
「瑞貴と。恋愛の楽しさもツラさも、痛いくらい学んでるでしょ?」
そう、だったんだ……。
知らなかったよ。
本気で人を好きになるって、
すごく幸せで、
すごく苦しいことだったんだね……。