*正しい姉弟の切愛事情*



お父さんが出張で帰ってこない夜を選んだ。


2人で囲んだ食卓は重苦しい空気に包まれていて、話しかけられる雰囲気じゃなかった。

感情を表に出していないのに、私には弟が不機嫌だということが分かってしまう。



当たり前だ。


長年一緒に暮らしてきたんだから。





早々と自室へ引き上げる瑞貴を見送って、食器を片付ける。


あとはいつもどおり。


こまごまと家のことを片付けて、お風呂に入って、部屋で髪を乾かす。



時計を見ると23時を回ったところだった。


ドライヤーのスイッチを切って、姿見でパジャマ姿の自分を確認して、

それから瑞貴の部屋に向かった。



< 392 / 428 >

この作品をシェア

pagetop