*正しい姉弟の切愛事情*
お父さんが出張で帰ってこない夜を選んだ。
2人で囲んだ食卓は重苦しい空気に包まれていて、話しかけられる雰囲気じゃなかった。
感情を表に出していないのに、私には弟が不機嫌だということが分かってしまう。
当たり前だ。
長年一緒に暮らしてきたんだから。
早々と自室へ引き上げる瑞貴を見送って、食器を片付ける。
あとはいつもどおり。
こまごまと家のことを片付けて、お風呂に入って、部屋で髪を乾かす。
時計を見ると23時を回ったところだった。
ドライヤーのスイッチを切って、姿見でパジャマ姿の自分を確認して、
それから瑞貴の部屋に向かった。