*正しい姉弟の切愛事情*

 ◇


「お疲れ様でした」


1日の業務を終え、更衣室で着替える。


外に出ると、空はすっかり群青色に染まっていた。

病院の向かいには大通りを挟んで学校がある。



……瑞貴が通っていた大学だ。


広い敷地に点在する建物はところどころ窓に明かりが灯っていて、

なにか身動きがとれない大きな生き物が暗闇に覆われることを嫌い、必死に抵抗しているように見えた。



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